抄録
本研究ではNaOH処理した後、NaNO3/Ca(NO3)2/AgNO3混合溶液に浸漬することで、銀イオン導入量を制御したチタン金属を調製し、そのアパタイト形成能および銀イオンの溶出挙動を調べた。その結果、混合溶液中のAgNO3濃度を0.01mMとした場合、0.6atom%の銀が導入され、銀粒子の析出は認められなかった。これをSBFに3日間浸漬したところ、その表面にアパタイトの析出が認められた。また、PBS(-)に浸漬したところ、24時間後のPBS(-)中の銀濃度は0.15ppmであった。以上のことから、本法によりチタン金属表面に銀粒子を析出させることなくイオン状態の銀を導入でき、得られた試料がアパタイト形成能を有し、且つ溶液中で銀イオンを放出することから抗菌性を示すと期待できる。