昨今の図書館新設の動向として、複合施設化に伴う情報環境の変化がある。従来図書館が所蔵してきた物理的な資料に加えて、デジタルアーカイブを含めたデジタルの情報を提供することを要件とする事例が見られるようになった。筆者らは、とりわけ市民参加型の地域アーカイブの分野において、優れたUXを実現するデジタルアーカイブの設計にあたり要件定義に有用な情報の導出を目指して、人間中心設計における参加型デザインの手法を取り入れたワークショップを実施した。その結果得たデータを分析したところ、デジタルアーカイブを構成要素としたコミュニティの文化継承のしくみをデザインする必要性を確認した。