日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
2011年年会講演予稿集
セッションID: 3K22
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機械的粒子複合化プロセスによるSi3N4セラミックスの作製と微構造制御
*多々見 純一野口 真中野 裕美脇原 徹米屋 勝利目黒 竹司
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抄録
Y2O3やAl2O3などの焼結助剤を添加して作製されるSi3N4セラミックスは、高強度、高靱性、高硬度など優れた機械的特性を有することから、各種構造部材として応用されている。Si3N4セラミックスの緻密化挙動と微構造は、焼成温度などのプロセス因子の他に、焼結助剤の種類や量とその分散状態に大きく影響を受ける。そこで本研究では、Si3N4とその焼結助剤であるY2O3とAl2O3からなる複合粒子を機械的粒子複合化プロセスにより調製し、これを用いてSi3N4セラミックスを作製して、その微構造と特性について評価することを目的とした。Si3N4(宇部興産(株)製、SN-E10)、Y2O3(信越化学工業(株)、RU-P)、Al2O3(大明化学工業(株)、TM-300)を重量比で92:5:3となるように秤量した。まず、Si3N4と-Al2O3を機械的粒子複合化装置内に投入し、出力5kW、保持時間10分の条件で処理した。これにY2O3を投入して出力5kW、保持時間10分の条件で処理した。混合粉末を15mm×7mmに成形した後1800℃、0.9MPaN2、2h時間保持の条件で焼成した。得られた焼結体に対して、SEMによる微構造観察、ビッカース圧子圧入による硬さと破壊靱性の測定を行った。ボールミルと同様に機械的処理によるものも-Si3N4柱状粒子が発達した微構造を有していることがわかる。画像解析の結果、-Si3N4柱状粒子の短軸径の分布はほぼ同程度であったが、95%アスペクト比はボールミルで3.8、機械的処理で4.5となり機械的処理の方がアスペクト比の大きな-Si3N4が発達していることがわかった。作製されたSi3N4セラミックスのビッカース硬さはいずれの焼結体でもほぼ同程度の値であったが、破壊靱性は機械的処理の方がボールミルよりも高い値を示した。これは、機械的処理においてアスペクト比の大きな-Si3N4粒子が発達していたことに起因すると考えられる。
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©  日本セラミックス協会 2011
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