抄録
本研究では,細孔壁に様々な化学種を付与した多孔体を作製し,その性質がCO2ガス分離に及ぼす影響を検討した.アルミナフィルタを鋳込成形法で作製し,その細孔壁をベーマイトとシランカップリング剤で化学修飾した.得られたフィルタの気孔率はいずれも約40%,平均細孔径が約800 nmで,細孔径分布はシャープだった.ベーマイトとシランカップリング剤で化学修飾したフィルタは目的の構造を有した.得られたフィルタのCO2とN2のガス透過特性を,差圧法を用いて調査したところ,ガス透過率は1.7 - 3.5 x 10-8 kmol∙m∙m-2∙s-1∙kPa-1となり,表面特性によりN2/CO2選択率が変化した.また,90%N2/10%CO2混合ガスを用いてガス分離試験を行ったところ,約5%のガス分離能が見られた.