抄録
Na2Ti3O7は無機イオン交換体の一つであり,耐酸性,耐アルカリ性,耐熱水性および特定の金属イオンに対する選択性など,有機イオン交換体とくらべさまざまな特性を示すため,近年,関心が高まっている。本研究では,フラックス法にて作製したNa2Ti3O7結晶のイオン交換特性を評価し,浄水器に応用することをめざした。イオン交換前後での結晶の変化を調査した。さらに,量産化に向けた大量バッチの結晶育成を試みた。生成する結晶相はフラックス蒸発率に依存した。フラックス蒸発率が低いとき,板状を基本形状としたNa2Ti3O7結晶が生成した。生成したNa2Ti3O7結晶は,水溶液中に含まれる9種の金属イオン(Al,Cr,Mn,Fe,Ni,Cu,Zn,CdおよびPb)を90 %以上除去できた。