抄録
水和ゲルを反応場とした結晶成長法は、難溶性化合物のバイオミメティックな合成プロセスとして知られている。本研究では、より低い過飽和度の環境を得るために、ゲルの両端からカルシウムイオンとリン酸イオンを拡散させるDouble diffusion systemを用い、種々の温度でリン酸カルシウム結晶の合成を試みた。反応温度が4もしくは40 ºCの試料ではリン酸八カルシウム(OCP)が、反応温度が80 ºCの試料ではヒドロキシパタイト(HAp)が生成した。HApは配向した1-5mm程度のロッド状結晶として生成した。走査電子顕微鏡観察によれば、このHApのロッド状結晶は、数十μm程度の繊維状結晶の集合体であった。一方、OCPは数十μm程度の球晶であった。