抄録
水酸アパタイト(HAp)の特定面に特異的に吸着するタンパク質やペプチドの探索は、骨や形成過程を理解し、それらに類似した生体材料を合成する上で重要である。本研究では、mRNAディスプレイ法を用いて HApのc面に選択的に吸着する合成ペプチドアプタマーを探索し、その吸着特性および結晶成長への影響を評価した。その結果、ある配列を持つペプチドはc面に特異的に強く吸着し、アミノ酸の配列および配列に依存する立体構造が重要であると考えられた。またペプチドを成長系に加えることにc軸方向の成長が抑制されたことが示唆され、成長した結晶の露出面は、ペプチドを加えることによりc面が優勢になっていた。