抄録
炭酸カルシウムで構成される貝殻は、生物が温和な条件で作り出すバイオミネラルであり高い機械的強度を有している。シーケンスの異なるペプチドをテンプレートとして用い、炭酸カルシウムのミネラリゼーションにおいて、シーケンスが与える効果について検討した。同じアミノ酸が分かれて並んだペプチド(ブロックポリマー: Lys5Asp5)ではバテライト、カルサイトが生成した。交互に並んだペプチド(交互ポリマー: (LysAsp)5)では(104)面に配向したカルサイトの生成が見られた。また、SEM観察より、ペプチドの種類によって結晶形態は異なった。ペプチドのシーケンスによって、合成する炭酸カルシウムの結晶相および形状の制御が期待できる。