抄録
金属酸化物透明導電膜は,ディスプレイ、太陽電池用透明電極やダイオードなどのデバイスへの応用において重要である。近年,原料価格の高騰や膜の透明性,熱安定性の観点から,ITOやFTOに代わる透明導電膜としてZnOが注目されている。簡便な方法で薄膜を形成する化学的湿式法の一つである分子プレカーサー法を用いて,ZnO薄膜形成を試みた。コーティング溶液として,酢酸亜鉛とEDTAの水溶液中反応で得たZn-edta錯体を含む溶液と,ギ酸亜鉛とプロピルアミンのエタノール中反応で得た溶液の2種類を合成した。これらの溶液を石英ガラス基板上に滴下し,スピンコート法でプレカーサー膜を形成し,400ºCで30分間熱処理していずれも透明薄膜を得た。さらに,A膜上にB膜を積層してC膜を得た。得られた薄膜のXRD,UV-Vis,膜厚(触針法)と比抵抗(四探針法)を測定し,FE-SEMで表面を観察した。