抄録
Ln2CuO4 (Ln:ランタノイド)系銅酸化物超伝導体では,K2NiF4構造(T)とNd2CuO4構造(T’)の2種類の結晶構造が知られている.通常の合成法では,イオン半径の大きなLn = LaのときはT構造,小さなLn = Pr-GdのときはT’構造をとる.しかし,約300度の低温で合成すると,Ln =LaでもT’構造をとることを我々は示した.また,T構造はホールドーピングが,T’構造は電子ドーピングが可能と言われてきた.しかしながら,本研究では,ホールドープしたT’構造の(La,M)2CuO4 (M = Sr, Ca) を低温で合成することに成功したので報告する。現在のところ超伝導は出現していないが,その出現の可能性について議論する.