抄録
我々のグループでは、オレイン酸被覆水熱成長法により擬キュービック型のブルッカイトTiO2の合成に成功している。得られたブルッカイトナノ粒子は、高い結晶性を有しており、極性・無極性溶媒に高い分散性を示す(両親媒性)ことが分かった。このブルッカイトナノ粒子はP-25と比べて優れた光触媒分解活性を示すが、一方で光誘起親水性では優位な差が見られなかった。そこで本研究では、合成したブルッカイトナノ粒子の結晶面を特定し、酸化還元を担う結晶面を明らかにすることで、活性の違いが生じた要因を調査した。HRTEM観察から、粒子は高結晶性の擬キュービック形状であり、主に4つの{210}と2つの{001}、加えて小さな8つの{111}によって囲まれていることが分かった。オレイン酸が特異的に{210}と{001}に吸着して粒成長を抑制したために、擬キュービック形状になったと推察される。Ptを光析出させた粒子のTEM観察から、{210}と{001}にPtの析出が認められたため、{210}と{001}が還元面、{111}が酸化面だと推察された。