抄録
現在多く用いられている金属系材料よりも高温領域での使用に対応した、同等のあるいは凌駕する熱電特性を示す無機材料の探索が進められている。これまでに我々は溶液プロセスのひとつである静電噴霧堆積法を用い、電極材料などの作製を検討してきた。
本研究では静電噴霧堆積法を駆使してn型半導体としての特性が期待されるペロブスカイト型構造を有するCaMnO3の薄膜作製およびAサイトであるCaにLaを置換した同型置換体の薄膜作製を検討し、Ca1-xLaxMnO3+δ薄膜の作製に成功した。その薄膜はペロブスカイト型構造をもつ平均200~300nmの単一相薄膜であり、なかでもCa0.6La0.4MnO3+δしが良い電気伝導度を示した。しかし、熱電特性の指標であるパワーファクターはLaの置換量が増加するにつれ減少した。