抄録
酸化物に対する部分的アニオン置換は、様々な新しい機能性をもたらしてきたが、O2-とH-の混合アニオン系、つまり酸水素化物 (オキシハイドライド)の報告例は、ごく一部であった。ここで、遷移金属の新しい酸水素化物、BaTiO3-xHxを報告する。BaTiO3-xHxは室温では水、空気に対して安定である。また、D2下で加熱すると、重水素交換が行われ、BaTiO3-xHyDzが得られた。粒子の内部までおよそ均一に進行したこの反応は、水素化イオンの移動度がそれなりに高いことを示している。酸化物に対する水素の伝導メカニズム、化学的反応性に関して様々な新しい知見が期待できる。