日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
2012年年会講演予稿集
セッションID: 2J06
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ペロブスカイト系酸化物蛍光体の合成と発光特性の評価
*下川 洋平坂井田 哲資白田 一樹藤原 陽和早川 知克本多 沢雄岩本 雄二
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抄録
ペロブスカイト系酸化物の一つであるCaZrO3はEu3+を添加することで強い赤色発光を示し,さらにMg2+を共添加することで発光強度が強くなることが報告されている.しかしながら,発光特性におけるセカンドドーパントの影響は材料学的に明らかにされていない.そこで,本研究では特に発光特性に与える要因として母材の格子定数とセカンドドーパントの電気陰性度に着目し,これらの影響を詳細に検討することを目的とした. 初めに格子定数を変化させるため,Caと同族でイオン半径の大きいSr,小さいMgを選択し発光特性の変化を調査した.次に,Aサイトセカンドドーパントとしてイオン半径が近く,電気陰性度がMg > Znの関係を持つMgとZn,BサイトZrに対してイオン半径差は大きいが電気陰性度の近いSn,逆の関係を持つTiを選択した.出発原料としてCaCO3, ZrO2, EuCl3を用い、Aサイトのセカンドドーパント源としてSrCO3, ZnO, MgO,BサイトにはSnO2, TiO2を選択した.全ての試料においてEu3+は5 mol%になるようドープした。各原料を組成に合わせて秤量し,エタノールを加えて湿式混合を行った.乾燥後,Zn,Mgをセカンドドーパントとして比較した場合のみ1200 °C,それ以外の場合は 1400 °Cで加熱処理した.得られた試料はXRD,PLで評価を行った.セカンドドーパントとしてMg,Srを用い,格子定数を変化させた場合の結果について述べる.XRDの結果より,全ての試料においてペロブスカイト系斜方晶カルシウムジルコネイトのピークと一致していた.2θ = 75 ° 付近のピークシフトより格子定数はMgを添加したとき小さくなり,Srを添加したとき大きくなることが分かる.Fig.2のPL測定結果よりMgを添加したとき発光強度は強くなり,Srを添加すると弱くなった.格子定数の結果と比較すると格子定数が小さくなると発光強度が強くなることが明らかになった.講演ではMg,Sr以外のセカンドドーパントを用い、格子定数と電気陰性度の変化に伴うEu周りのField strengthの変化から考察を行い発光メカニズムについて議論する.
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©  日本セラミックス協会 2012
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