抄録
正方晶タングステンブロンズ(TTB)型結晶は、強誘電性や非線形光学特性を有している。そのTTB型結晶であるBa1-xSm2x/3Nb2O6(0.2≦x≦0.4)結晶は斜方晶ニオブ酸バリウムBaNb2O6のBa2+をSm3+で部分的に置換させることにより作製され、x=2では13%だけのSm3+をBa2+と置換させる事で斜方晶から正方晶へと構造変化を起こす。現在、この結晶がガラス結晶化法から作製されたという報告は無い。本研究では、熱処理による結晶化によりRE2O3-BaO-Nb2O5-B2O3ガラスから、TTB構造の結晶から成る結晶化ガラスを作製した。格子定数算出、蛍光スペクトル測定、STEM-EDS測定により、この結晶が希土類固溶している事が明らかとなった。また熱処理温度の増加に伴い、希土類イオンサイトの対称性も増加する事が示唆された。