抄録
Euで賦活したアルカリ土類金属チオシリケート蛍光体である(Ca, Eu)2SiS4および(Sr, Eu)2SiS4は近紫外光から青色光での励起により、それぞれ橙色、黄緑色の発光を示す。これらの発光特性は白色LED用蛍光体として有望であることが知られている。しかし、これまでよく知られていたCa, Sr系チオシリケートはCa2SiS4、Sr2SiS4のみであった。そこで、本研究では溶液プロセス、ガス還元硫化、アンプル封入中での固相反応を組み合わせた複合無機化学的手法を用いて、新規Ca, Sr系チオシリケートの合成を試みた。その結果、新規チオシリケート(Ca, Sr)3Si2S7の合成に成功した。Euで賦活した(Ca, Sr, Eu)3Si2S7は350-550 nmの近紫外・可視光の励起により613 nmに発光ピークを有する橙色の発光を示した。