抄録
六方晶BaTiO3(h-BT)は酸素欠陥の導入により、室温において正方晶BaTiO3(t-BT)を遥かに凌ぐ誘電率を示す事が知られている。しかし、h-BTの合成には1460˚Cからの急冷処理が必要なため、高温処理により粒子が凝集・成長してしまい、微粒子の合成が困難という問題がある。マイクロ波プロセスは、物質とマイクロ波の相互作用により物質自身を発熱させるため、物質の選択加熱や急速加熱・冷却が可能である。得られる効果として、反応時間の短縮や高温相の常温安定化等が挙げられ、既存のプロセスでは困難であった物質の合成が可能である。本研究では、粒子同士の凝集・成長を防ぐ為に、t-BTと反応しないカーボンを用いて粒子同士を隔て、これにマイクロ波を照射する事で、h-BT微粒子の合成を試みた。