抄録
磁性材料を用いた電波吸収体は、強い吸収の得られる周波数帯域が狭いため、複数の磁性材料を組み合わせた混合体を作製する必要がある。一方、カーボンマイクロコイル(CMC)は、その導電性とコイル形状に起因する電磁誘導作用により、広い電波領域で複数の強い吸収ピークを持つ。そこで、本研究では、代表的な高周波磁性材料であるスピネルフェライトを、CMCに共沈法により担持させ、得られたフェライト担持CMC(MGCMC)の微細構造を観察すると共に、電波吸収特性に与える複合化の影響を検討した。その結果、SEM、TEM観察により、フェライトを内包した部分とフェライトがCMC表面を直接被覆した部分からなることがわかった。CMC単体およびMGCMCの電波吸収特性を評価した結果、フェライト単体では吸収を示さないGHz周波数域において、MGCMCはCMCの電波吸収特性を更に増強した吸収特性が得られた。