抄録
水素はクリーンなエネルギー源として期待されており、化石燃料の枯渇や環境問題の観点からも光触媒を用いた水素製造法が注目されている。しかし、現在開発されている光触媒のほとんどは、太陽光に含まれるわずか 4 %の紫外光でしか触媒反応を示さない。そこで、活性の向上という観点から、太陽光の大半を占める可視光を効果的に利用できる光触媒材料の開発が切望されている。これまでに当研究室では、可視光領域で光エネルギー吸収を示す色素増感剤と紫外光照射下で水分解活性を有する光触媒との複合化の検討を行っており、シアニン系色素と層状ペロブスカイト化合物HCa2Nb3O10とを複合化した試料において、可視光照射下で水素生成に成功している。そこで本研究では、更なる活性の向上を目指して、層間の複合化色素量を変化させ、それによる可視光照射下での水素生成活性変化を検討した。