抄録
不連続炭素繊維分散SiCマトリックス複合材料(以下、DCF/SiC複合材料とする)はミクロ破壊を材料内部に蓄積する損傷許容型の材料である。DCF/SiC複合材料を構造材料に用いるためには、クラックを有する際の破壊挙動とマクロな力学特性に及ぼす影響を調べる必要がある。これまで長さL~6mmのピッチ系炭素繊維バンドルが面内ランダムに配向した構造を持つDCF/SiC複合材料の材料組織に対して、ノッチ長さaがa>> Lになるようノッチを導入し、破壊試験を行った。その結果、ノッチ先端の応力集中によって破壊が生じることを示した。一方で、組織に対して短い(a< L)ショートクラックを有するDCF/SiC複合材料の破壊挙動とマクロな力学特性に及ぼす影響を調べることは実用化にあたって重要である。そこで、本研究では、長さの異なるクラックを有するDCF/SiC複合材料に対して同様の破壊試験を行った。実験結果から、クラック長さと材料組織の関係についてロングクラックを導入した結果と比較考察を行い、クラック長さが破壊挙動とマクロな力学特性に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。