抄録
本研究では,フッ素添加LaFeAsO化合物の系に関して,走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いた電子エネルギー損失分光(EELS)に基づく方法により,従来の結像法では可視化することができない軽元素のフッ素ドーパントを原子レベル直接観察・可視化することを試みた.F-K端を用いたSTEM-EELSマッピング像において,酸素サイトの位置でフッ素のスペクトル強度が高くなっており,フッ素イオンが酸素サイトに置換している様子が原子レベルで直接観察された.本研究により,原子サイズに収束させた電子プローブを用いたEELS測定により,従来法では観察が困難な軽元素を含むドーパントの原子構造,電子状態の解析が可能であることが示された.