抄録
BaTi2O5はBaTiO3よりも高い強誘電転移温度と大きな誘電率を持つ強誘電体であることから,将来の実用材料として注目されている.誘電特性を制御するために,Baサイトを他元素で置換することが試みられているが,置換量が少ないことが課題となっている.最近我々は無容器浮遊法によってBa1-xCaxTi2O5ガラスの合成に成功し,そのガラスからの結晶化により強誘電体のBa1-xCaxTi2O5が得られることを見出した.ガラスから結晶化させたことにより,従来の固相反応と比べて置換量の大幅な増大が見られた.本研究では強誘電体Ba1-xCaxTi2O5の結晶構造と誘電特性との相関を,放射光XRDとXANESによって調べた.