抄録
通常の酸化物原料を用いた固相反応法でBaTi2O5単相の焼結体を得ることは難しいと考えられている。主にBaTiO3との混晶となる。しかしながら、これまでの実験結果から、わずかな仮焼条件の変化がBaTi2O5の合成に大きな影響を及ぼしていることが予想された。そこで本報告では仮焼条件が固相反応後の結晶相に及ぼす影響を実験的に検討した。BaTi2O5を合成するためには反応段階でBaとTiが1 : 2で固相反応する条件を見出す必要がある。そのためには粉末の充填密度および昇温速度が重要である。両原料粉の接触面積を増やすには粉末よりも成形体の方が有利である。充填密度が低ければ、BaとTiが1 : 1で反応し、BaTiO3が生成する確率が高くなる。粉末の代わりに成形体を用いると、BaTi2O5の生成量が増大することが確かめられた。また、昇温速度を遅くした方がBaTi2O5の生成量が増大した。