抄録
トレーニングを⽇常的に⾏うスポーツ選⼿では、⼀般⼈よりも鉄⽋乏性貧⾎の発症リスクが⾼い。スポーツ選⼿における⽣体内の鉄⽋乏(貯蔵鉄の減少)の要因として、溶⾎、消化管出⾎、運動に伴う発汗、⾷事量の低下などだけでなく、鉄調節ホルモンであるヘプシジンが運動によって分泌亢進することも挙げられる。ヘプシジンは、主に肝臓で産⽣されるペプチドホルモンであり、⽣体内での鉄吸収や排泄を調整する。例えば、ヘプシジンは、⾷事で摂取した鉄の吸収率を低下させる。このヘプシジンは、運動に伴う炎症反応で増加し、特に運動3〜6時間後に⾼値を⽰す。そのため、スポーツ選⼿における鉄⽋乏に関与しているかもしれない。本稿では、主に運動とヘプシジン分泌について紹介する。加えて、鉄⽋乏の発症リスクの⾼いスポーツ選⼿が特に配慮すべき、鉄を多く含む⾷事を摂取するタイミングについて考察していく。