抄録
厚生労働省等は、妊産婦に対する保健・医療体制の一つとして、かかりつけ薬局・薬剤師の活用を提言している。本研究では、薬局・薬剤師の機能・職能に対する妊産婦の相談ニーズを明らかとし、妊産婦の背景情報(出産回数、回答時の年齢、薬局の使用状況)との関連性も検討した。妊産婦の相談ニーズは、【健康管理項目一般】、【健康食品・一般用医薬品】、【医療用医薬品】、【全般的な相談】という4つのクラスターに分類され、各クラスターは、妊産婦の背景情報3因子で関連付けられた。初産婦・経産婦に関係なく、比較的年齢層が若い者は、1)受診中の産科が主体となり、2)薬剤師への相談ニーズは、セルフケア・セルフメディケーションの領域であり、3)出産経験に準じて健康食品・一般用医薬品から健康管理項目一般へと優先順位がシフトする傾向があった。一方、比較的年齢層が高い者は、1)出産経験に準じて複数の薬局使用からある程度かかりつけ薬局に使用が集約され、2)相談ニーズも全般的な相談から医療用医薬品へシフトされる傾向があった。本結果は、薬局・薬剤師が各妊産婦の特性を考慮した応対を実践する上で意義あるものと考える。