抄録
大腸出血の原因の一つとして,近年,大腸憩室が増加している。憩室出血の大半が保存的治療で止血するが,遷延する場合には積極的止血処置を必要とする。今回,盲腸憩室出血に対し緊急動脈塞栓術が奏効した1例を経験したので報告する。症例は65歳の男性で,突然の下血が出現し来院した。緊急大腸内視鏡検査では,新鮮血液凝固塊を大量に認めるものの病変部位は同定できなかった。下血が続き,患者がショック状態となったため,同日,緊急血管造影検査を施行した。上腸間膜動脈造影にて盲腸内側部の回結腸動脈末梢枝に出血点が認められ,動脈塞栓術(coiling)を施行し止血を確認した。後日,大腸内視鏡検査を施行したところ,出血部に一致して多数の盲腸憩室が認められ,盲腸憩室からの出血と診断した。患者は,第20病日に軽快退院となり,その後も再出血は認められていない。