抄録
直腸結節集簇様病変の治療方針決定には,病理学的な深達度,脈管浸潤,切除断端の確実な診断が必要であり,これら正確な病理診断のためには内視鏡的一括切除による摘除生検が望ましい。当院では20mm以上の直腸結節集簇様病変に対し,一括切除を効果的に行うため,insulation-tipped electrosurgical knife(ITナイフ)を用いendoscopic mucosal resection(EMR)を行っている。現在までに4病変(最大45mm)の一括切除に成功しており,その後の治療および経過観察の方針決定に寄与するに十分な標本を得ている。2例に拍動性出血を認めたがクリップにて容易に止血し,輸血は必要としなかった。また穿孔は現在までのところ経験していない。現時点でのcutting EMR法(ITナイフ法を含む)による内視鏡的摘除では,術前に深達度m~smの癌と診断された(あるいは形態的に腺腫と癌の混在が疑わしい)20mm以上の直腸結節集簇様病変がよい適応と考える。