Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
膵管洗浄液細胞診の膵癌診断における有用性―通常型膵管癌の新たな検査法―
今村 綱男吉田 仁北村 勝哉柳川 達郎齋藤 剛塙 勝博三代川 章雄池上 覚俊野津 史彦高橋 章新川 淳一田中 滋城九島 巳樹三田村 圭二
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2003 年 62 巻 2 号 p. 55-59

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抄録
 通常型膵管癌(以下,膵癌)は消化器癌の中でも極めて悪性度が高く,予後は不良である。膵癌の予後向上のためには上皮内癌の検出など早期診断法の確立が重要であり,従来の方法に比べ鋭敏かつ確実な診断法が必要となる。内視鏡的逆行性膵管造影(ERCP)の手技を用い,直接十二指腸乳頭を介して膵管から採取される純粋膵液の細胞診が行われているが,陽性正診率は30~79%と必ずしも高くなく,正診率の改善が望まれる。本研究は,気管支肺胞洗浄をモデルに,膵癌症例の膵管洗浄液(pancreatic duct lavage fluid ; 以下,PDLF)を回収し,膵癌診断における有用性について検討した。方法はERCPに際し膵管異常部の擦過後,3ルーメンバルーンを膵管内に楔入した。造影ルーメンよりシリンジで滅菌生理食塩水を0.5mlずつ注入し,同時にガイドワイヤールーメンより弱い陰圧で吸引した。膵癌5症例からPDLFを採取し,膵炎などの合併症を認めなかった。PDLF中には大量の剥離細胞が認められ,損傷や変性が少なく細胞形態が保持され,全例に陽性の病理診断を得た。我々の考案したPDLFは,多数の膵癌細胞を安全に回収でき,細胞の損傷が少なく細胞診に有用であり,膵癌の早期診断の向上への寄与が期待できる。本法は,ERCP,細胞診が可能なら新たな設備は不要であり,鋭敏かつ確実な検査法として普及されることを期待する。
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© 2003 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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