ショートクリップ止血術を行った一連の消化性潰瘍41例につき臨床的検討を行った。クリップを潰瘍底に掛けられたのは33例で,残りの8例(19.5%)は潰瘍底が硬いためクリップを掛けられなかった。潰瘍底にクリップを掛けられた33例のうち32例は初回止血に成功,うち29例では永久止血が得られたが3例で再出血を認めた。クリップを掛けられたにも拘らず止血出来なかった1例ではHSEの局注を行うも止血困難であった。クリップが掛けられなかった8例のうち,3例はForrest分類Ⅱaでそのまま自然止血,2例はヒータープローブで1例はHSEで永久止血,残り2例は他の止血法を併用するも初回止血が困難であった。ショートクリップは潰瘍底が硬い場合には掛けられないことがあり,全ての出血性胃十二指腸潰瘍をショートクリップ単独で治療するのには限界があると考えられた。