Progress of Digestive Endoscopy
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臨床研究
アメーバ性大腸炎の検討-IBDとの鑑別を中心に-
岸原 輝仁石山 晃世志文園 豊今田 真一小川 大志千野 晶子浦上 尚之五十嵐 正広
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2008 年 73 巻 2 号 p. 77-79

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抄録

 アメーバ性大腸炎の臨床病理学的特徴を明らかとし,潰瘍性大腸炎(以下,UC),Crohn病(以下,CD)との内視鏡的鑑別診断を中心に検討した。当院で経験した19例での感染経路の分析では,異性間感染が11/19(56%),同性愛者間感染3/19(16%),海外での感染6/19(32%)などであった。病変の分布は盲腸19/19(100%),直腸12/19(61%)に多く,その主な内視鏡所見はアフタ様びらん95%(18/19),びらん周囲の紅暈95%(18/19),タコイボ様びらん74%(14/19),打ち抜き状潰瘍47%(9/19),汚い白苔の付着90%(17/19),易出血性粘膜42%(8/19)などであった。UCではびらん間にも連続性の炎症があり,タコイボ状のびらんや汚い白苔は乏しい。CDではびらんの分布に縦走傾向を呈することが多く,白苔は伴うも汚さはない。また,小腸病変を伴う頻度が高い。アメーバ性大腸炎の確定診断率は,粘液の直接鏡検で88%,生検組織診断で85%,血清抗体価で67%であった。3者を組み合わせることで診断率の向上が期待される。IBDの鑑別診断としてアメーバ性大腸炎を常に念頭に置くことが重要であると思われた。

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© 2008 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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