2008 年 73 巻 2 号 p. 92-96
20mm以上の大腸腫瘍性病変に対して内視鏡治療を行い,3カ月以上経過観察しえたEMR/EPMR : 215病変,ESD : 23病変を対象とし,それぞれの治療成績を比較検討した.遺残・再発率はEPMR群と比較するとESD群で有意に低く(p<0.01),一括切除が可能だった症例では遺残・再発は認めなかった。EMR/EPMR群では27例に遺残・再発病変を認めたが,1例で浸潤癌での再発を認め,外科切除を要した。治療時間はESD群で約4倍の時間を要した(p<0.01)。20mm以上の腫瘍性病変に対してESDはEMR/EPMRと比較し,術時間が長かったが,偶発症も認めず,全大腸において比較的安全な治療手技と考えられた。しかし技術的に一括切除・計画的分割切除が困難な場合は外科切除を選択することが,遺残・再発率を減少させ,患者のQOLの向上につながることを常に念頭に置くべきである。