2011 年 79 巻 2 号 p. 33-36
大腸腫瘍に対するESDを安全に行うため,我々は「3チャンネルスコープ法による大腸ESD(3ch法)」を開発・施行してきた。今回は本間らの開発したSBナイフを併用し,その有用性と課題を検討した。本法の手順は,(1)大腸用2チャンネルスコープに外部鉗子用シース(第3チャンネル)を装着。(2)粘膜下層への局注と全周切開までは通常のESDと同様。(3)局注針で粘膜下層を伸展させつつ,第2チャンネルからのSBナイフで剥離を行う(2ch法)。(4)第3チャンネルから把持鉗子を出して病変を把持・挙上させ,剥離を進めて病変を切除する(3ch法)というもの。2011年1月以降に本法を施行した5例の平均では,長径37.6mm,切除所要時間57.4分,剥離所要時間43.0分。切除・剥離所要時間は従来法と同程度であり,穿孔や出血は認めなかった。本法は,牽引法により広い視野と作業領域を確保しつつ,SBナイフで安全に剥離を行うことができるため,大腸ESDにおける有用な手技であると判断された。