2017 年 91 巻 1 号 p. 98-101
幽門狭窄を呈する高齢者進行胃癌に対し,十二指腸ステント留置術を施行した4例について検討したので報告する.特に96歳女性の幽門前庭部の2型進行胃癌の症例は,現在も経口摂取可能で生存中であった.外来通院中でステント留置927日目である.患者の平均年齢は85.8歳,ステント挿入時間は平均19分であった.また,経口摂取は術後平均2日より開始可能であった.ステント挿入後から退院までの平均日数は50日(9-92日),ステント挿入後の生存期間は(2017年10月6日現在)平均372日(98-927日)であった.当院ではバイパス手術後の経口摂取開始期間は3-10日であり,ステント留置術では2日と短縮できた.高齢者の幽門狭窄に対しての十二指腸ステント挿入は手技時間も短く安全で,挿入後早期に経口摂取が可能となりQOL改善に有用な処置である.