消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
番瀉葉(Folium sennae)による大腸内視鏡検査前処置法の検討
岸田 輝幸李 峰佐藤 順藤森 俊二南 定立川 裕理三宅 一昌田口 克司山門 進玉川 恭士田口 文彦吉田 豊平川 恒久小林 正文劉 賓
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1993 年 42 巻 p. 104-107

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抄録

 センナ葉であるCassia angustifolia Vahl(生薬チンネベリーセンナ)とCassia acutifolia Delile(生薬アレキサンドリアセンナ)からなる漢方薬番瀉葉(有効成分はsennoside A,B)による,大腸内視鏡検査前処置法の臨床的有用性について検討した。対象は1992年4月から同年11月の間に,Brown変法による前処置法で注腸造影検査を行い,大腸ポリープと診断した25例である。同一症例に食事制限のない番瀉葉による前処置法で大腸内視鏡検査を行い,入院後,経口腸管洗浄液による前処置法で内視鏡的ポリペクトミーを行った。食事制限の有無,下剤あるいは洗浄液の飲みやすさ,腹痛などの副作用を考慮した時,3つの前処置法のうち番瀉葉を好むものは15例(60%)おり,最も好評であった。腸管洗浄度については,経口腸管洗浄液を用いた前処置法では全例問題がなかったが,番瀉葉を用いた前処置法では不良例が3例(12%)に認められた。結局,番瀉葉による大腸内視鏡検査前処置法は,腸管洗浄効果では経口腸管洗浄液にやや劣るものの,患者には好評であり,臨床症状,血液検査における副作用もほとんどなく,安価であることより,今後,被検者の便通状態を考慮して,番瀉葉および水分摂取量を加減すれば,大腸検査前処置法として臨床的に有用になるものと考えられた。

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© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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