消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
大腸憩室出血の検討
小林 博之井上 博和岸 秀幸長谷川 毅安斎 保小川 聡安田 正俊佐藤 正弘星 一渡辺 七六藤沼 澄夫酒井 義浩
著者情報
キーワード: 大腸憩室症, 憩室出血
ジャーナル フリー

1993 年 42 巻 p. 108-111

詳細
抄録

 1988年1月から1992年11月までの5年間に,当院で大腸憩室出血と診断したのは12例あり,男6例,女6例で,平均年齢は71歳(48-86歳)であった。憩室は群発または散発であったため,部位は両側型が11例と多かった。明らかに憩室からの出血を確認できたのは2例であった。非出血群22例と臨床的に比較すると,出血群の男性で喫煙率が67%と高かったが,その他飲酒,高血圧,脂質などに有意差はなかった。憩室炎3例,穿孔1例が併存し,穿孔の1例を除き,内科的に軽快した。再出血は7例あり,内視鏡的に確実な止血処置を施行した2例に再出血はなかった。憩室出血診断の際,緊急内視鏡は不可欠であるが,十分全身管理を行ったうえで,腸管洗浄液などの前処置を使用することで,24時間以内に,より確実な診断,治療が可能になると思われ報告した。

著者関連情報
© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
前の記事 次の記事
feedback
Top