消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
食道血管腫の1例
真船 健一田中 洋一藤田 吉四郎田久保 海誉
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1993 年 42 巻 p. 158-161

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抄録

 症例は56歳女性。胸部つかえ感を主訴として近医を受診し,食道粘膜下腫瘍の診断で当科を紹介された。上部消化管造影にて,胸部上部食道の頸胸境界部に長径2.8cmの陰影欠損が認められた。内視鏡所見では,切歯列より22cmから23cmの8時から1時方向に,表面平滑で正常上皮に被覆された可動性良好な腫瘤が存在した。内視鏡的超音波検査では,比較的低エコーで充実性の腫瘤が食道粘膜下層に認められた。CT検査では,血管に富んだ充実性腫瘍と考えられた。食道粘膜下腫瘍の診断下に,頸部切開,腫瘍核出術を施行し,病理組織学的に海綿状血管腫と診断された。食道血管腫はまれな疾患であるが,内視鏡によるポリペクトミーの進歩により近年報告例が増加している。しかし本症例のように,表面平滑で色調が青色や暗赤色を呈さない報告は少なく,他の食道良性腫瘍との鑑別が困難で,診断治療には十分な注意を要する。

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© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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