消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
食道乳頭腫7例の検討
平原 美孝鶴井 光治高橋 秀理趙 達来月岡 健雄片山 信仁福永 淳奥山 厚笹川 道三
著者情報
キーワード: 食道乳頭腫
ジャーナル フリー

1993 年 42 巻 p. 154-157

詳細
抄録

 当センターでは過去6年間に上部内視鏡検査を8,059例に施行し,7例の食道乳頭腫を経験した。性比は,男 : 女=4 : 3であり,平均年齢は53.6歳であった。主訴は,心窩部違和感などの腹部愁訴が5例にみられた。基礎疾患は,肺癌,胃癌の手術後が2例,胃潰瘍が1例にみられた。内視鏡所見では,発生部位は中部食道4例,上部食道3例で,白色調,表面顆粒状の隆起として観察され,山田Ⅲ型の形態が5例と多くみられた。他の2例は,扁平隆起および集簇性小隆起として観察された。随伴した食道・胃病変では,食道裂孔ヘルニア2例,逆流性食道炎1例,胃潰瘍・胃炎各1例みられた。乳頭腫の発生要因との関連で,生検組織を用い,免疫染色法にてhuman papilloma virus antigenの検索を行ったが,全例陰性であった。乳頭腫は,組織学的には同様の形態を呈するが,発生要因は単一でないと考えられた。治療方針は,著者らは生検を機に脱落した2例を含め7例全例の経過を観察しているが,最長4年間で腫瘍に著明な変化は認められず,切除などの処置を加えなくとも,厳重な経過観察で十分と考えている。

Fullsize Image
著者関連情報
© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
前の記事 次の記事
feedback
Top