1993 年 42 巻 p. 202-205
症例は53歳男性。検診にて平成元年から胃に異常陰影を指摘され,当科にて精査を行った。胃内視鏡検査にて,胃体上部大彎にbridging foldを伴う直径約4cm大の粘膜下腫瘤を認め,表面にはdelleを有し,cysticで軟らかいものであった。これに対し,吸引細胞診を施行したが,悪性所見は認めなかった。平成3年,腹部単純X線写真にて同部に石灰化を認め,内視鏡的にも増大傾向が認められたため,当院第2外科にて胃楔状切除を施行した。粘膜下腫瘤は一部cysticであり,囊胞内液は漿液性で,生化学検査ではアミラーゼが15,990単位と著明な高値を示した。また組織学的には,石灰化を伴う巨大迷入膵と診断され,まれな症例と考え報告する。