消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
残胃空腸吻合部に発生した腺扁平上皮癌の1例
山村 真吾西川 滋人金子 操長瀬 裕平友野 寛樹馬場 義一松丸 一彦黒沢 進正岡 一良屋嘉比 康治中村 孝司若原 卓和田 信昭菅野 勇長尾 孝一
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キーワード: 腺扁平上皮癌, 残胃癌
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1993 年 42 巻 p. 213-216

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抄録

 胃の腺扁平上皮癌は比較的少ない疾患である。ことに胃切除後に発生した,食道噴門部と連続性を認めない腺扁平上皮癌は極めてまれである。今回われわれは,胃癌の術後30年後に発生した残胃空腸吻合部のBorrmann 3型の腺扁平上皮癌を経験した。患者は62歳男性。胸腹部痛・黒色便を主訴に来院し,血液学的検査にて貧血を認めた。内視鏡検査で残胃空腸吻合部に出血性潰瘍を伴う不整形隆起を認め,生検の結果,腺扁平上皮癌と診断した。遠隔転移を認めなかったため手術を施行した。術後診断は,残胃空腸吻合部大彎側の7.0×5.0cmのBorrmann 3型進行癌で,中心発育型の腺扁平上皮癌,H0,P0,S2,N2(+)であった。組織学的には,腺癌成分としてはsolid and tubular patternの中分化型腺癌であり,同一の腺腔内に腺癌と扁平上皮癌の混在する所を散見することより,扁平上皮癌の発生機転として,腺癌の扁平上皮化生であることが考えられた。

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© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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