1993 年 42 巻 p. 209-212
症例は54歳男性。胃X線検査および胃内視鏡検査により,多発胃癌の診断にて胃切除術を施行した。多発胃癌は高齢者に多いとの報告があるが,本症例は高齢ではなかった。術前の胃X線検査および胃内視鏡検査にて,陥凹性病変(Ⅱc)が4ヵ所,隆起性病変(Ⅱa+Ⅱc)が1ヵ所に指摘されており,術後の切除標本の肉眼所見にて,もう1ヵ所陥凹性病変(Ⅱc)が発見された。それぞれの深達度は,mが3病巣,smが3病巣であった。多発胃癌は,過去の報告では2-4病巣が多く,6病巣はまれであるので報告する。