消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
十二指腸第3部にみられた腺腫の1例
藤澤 秀樹越川 尚男吉岡 茂近藤 英介大和田 耕一
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 42 巻 p. 236-239

詳細
抄録

 症例は73歳男性。食後の上腹部痛と前胸部圧迫感を訴え,内視鏡検査で十二指腸第3部に白色調,光沢を有し,顆粒状ないし結節状の広基性ポリープを認めたため,内視鏡的ポリペクトミーを行った。大きさ26×23×18mm。組織学的診断は腺管腺腫で,悪性の変化は認めなかった。Paneth細胞も認めなかった。本邦で内視鏡的に切除された十二指腸良性腫瘍報告例は244例であり,第1・2部に94%,第3部に11例4.5%。また広基性は20例9.2%,有茎-亜有茎性は91%であった。腺腫は55例23%。第3部には4例1.6%で,この症例のみが広基性ポリープであった。腺腫で,20mmを超えるもの,絨毛化を認めるもの,乳頭部に発生するものには癌化例が多く認められ,特にGroup Ⅲの場合には,可及的に内視鏡的切除術を行い,癌が発見され,粘膜下浸潤があれば追加手術を行うべきであると考えられた。十二指腸腺腫の部位,形状が珍しく,早期癌との関係を考えるうえで示唆に富み報告した。

Fullsize Image
著者関連情報
© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
前の記事 次の記事
feedback
Top