消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
潰瘍性大腸炎ステロイド強力静注療法無効例に対するone shot動注療法の検討
渡辺 七六井上 博和小林 博之岸 秀幸長谷川 毅小川 聡安田 正俊安斉 保前谷 容福本 学藤沼 澄夫酒井 義浩長尾 二郎
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1993 年 43 巻 p. 104-107

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抄録

 1990年12月以降,ステロイドの強力静注療法が無効であった手術拒否3例の重症,1例の中等症潰瘍性大腸炎に対し,one shot動注療法を施行した。中等症の1例は著効し,以後の保存的治療により寛解した。無効であった3例の重症例のうち,1例はone shot動注では無効であったが,3日間の持続動注が奏効し,大腸を温存して寛解が得られた。1例は1年後,二期的に大腸全摘術を施行した。1例はtoxic megacolonの改善が認められず,緊急手術したが,合併症により死亡した。重症例,ことに電撃型などの症例では短期間の内科的治療で評価を下し,治療の継続,外科的処置への変換などを判断する必要がある。また,外科的処置に移行する際,投与されたステロイド量は少ない方が合併症減少には有利である。従って,動注療法を強力静注療法に先駆けて施行し,保存的治療の限界を早期に判断すべきと思われた。また,動注療法の効果を短期間に評価判定するには,白血球数,CRPなどの炎症所見では,強力静注療法の影響もあり不適当と思われたが,腹痛,排便状況,発熱などの臨床症状は効果判定には有用と思われた。

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© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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