消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
臨床研究
大腸における表面型過形成性ポリープの検討
藤沼 澄夫酒井 義浩中島 俊一松村 修志石井 俊也岸 秀幸片桐 耕吾安田 正俊広瀬 安紀鴻上 健一渡辺 七六発地 美介
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1993 年 43 巻 p. 108-111

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抄録

 内視鏡下で生理食塩水局注後に摘除(endoscopic resection,以下ERと略)した214病変における過形成性ポリープ21病変(9.8%)について検討した。形態はすべて表面型腫瘍に近似していたが,組織学的に腺管の形状より,単純延長型(腺管が分岐や拡張することなく単に延長するもの)10病変と鋸歯状型(腺管が拡張し鋸歯状を呈するもの)11病変とに分けた。その結果,単純延長型は高さが低く,大きさは9mm以下が多く,白色・同色調で,表面性状は細顆粒状が多かった。一方,鋸歯状型は高さが高く,前者に比し大きい病変が多く,同色・赤色調で,表面性状は結節状・中心陥凹が多かった。単純延長型は既存腺管の垂直方向への高さの増加のみであり,表面性状は周囲の腸小区模様に類似し,さらに間質の拡大がないため低い小さな病変にとどまると考えられた。一方,鋸歯状型は腺管が拡張して数腺管が集簇し小結節状を呈したり,また小結節間の相対的な陥凹が多様な表面性状を呈する原因と考えられ,さらに広い間質も関与し,高く大きな病変になることが想定された。ER直後に実体顕微鏡を施行しえた病変でも,過形成性変化と認識困難な病変が少数存在し,色素法や拡大観察を含めた詳細な表面構造の観察が診断上重要と思われた。

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© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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