抄録
症例は68歳の男性。尿路感染症にてオフロキサシン(300mg/日)を内服したが,投与10日目頃より腹痛,下痢,発熱などの症状がみられ,12日目に入院した。同日行った内視鏡検査にて偽膜性大腸炎と診断した。オフロキサシンの中止とともに,バンコマイシン(1,000mg/日)の内服を開始した。症状は速やかに軽快し,バンコマイシン投与5日後の内視鏡検査にて偽膜の消失を確認した。オフロキサシンによる偽膜性大腸炎の報告は,自験例を含め6例であった。オフロキサシンなどのニューキノロン系抗菌剤による偽膜性大腸炎の報告が増加しており,注意を要すると思われた。