患者は41歳女性。19年前より全身性エリテマトーデス(SLE)と診断され,ステロイド剤での維持療法中に下痢・下血が出現した。大腸内視鏡検査でS状結腸に,中心部は全周性,辺縁部は帯状の長軸方向に長い巨大な潰瘍を認めた。入院してステロイド剤を増量治療1ヵ月後,病変中央部は一段と深い穿通様の潰瘍へと増悪していたが,5ヵ月後にはひだ集中を残して瘢痕化し,その後の再発を認めていない。本症の潰瘍病変は組織学的な確診は得られていないが,免疫学的にはSLEの増悪期の発症で,ステロイド剤増量が有効であったことより,その成因として血管炎の関与が示唆された。