消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
全身性エリテマトーデスに合併した巨大大腸潰瘍の1例
田口 忠男宮本 俊明石原 武江畑 稔樹岩間 章介石原 運雄今野 暁男
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1993 年 43 巻 p. 227-230

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抄録

 患者は41歳女性。19年前より全身性エリテマトーデス(SLE)と診断され,ステロイド剤での維持療法中に下痢・下血が出現した。大腸内視鏡検査でS状結腸に,中心部は全周性,辺縁部は帯状の長軸方向に長い巨大な潰瘍を認めた。入院してステロイド剤を増量治療1ヵ月後,病変中央部は一段と深い穿通様の潰瘍へと増悪していたが,5ヵ月後にはひだ集中を残して瘢痕化し,その後の再発を認めていない。本症の潰瘍病変は組織学的な確診は得られていないが,免疫学的にはSLEの増悪期の発症で,ステロイド剤増量が有効であったことより,その成因として血管炎の関与が示唆された。

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© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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