消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
内視鏡的に診断が困難であった大腸毛細血管腫の1例
平原 美孝高橋 秀理鶴井 光治堀向 文憲月岡 健雄片山 信仁福永 淳笹川 道三五十嵐 誠治井村 穣二島村 香也子
著者情報
キーワード: 大腸毛細血管腫
ジャーナル フリー

1993 年 43 巻 p. 251-254

詳細
抄録

 症例は51歳女性。集団検診で便潜血陽性を指摘され当センターを受診した。注腸検査で横行結腸に7mm大の山田Ⅲ型の隆起性病変を認めた。大腸内視鏡では病変は2/3を白苔様物質で覆われ,頸部に発赤した部分を認めた。再検時内視鏡では,病変は隆起のほぼ全体が白苔様物質に包まれ,頂部・頸部にわずかな発赤を認めた。色素内視鏡では,隆起表面のピット構造の消失がみられた。切除標本の組織像では,腫瘍内に小型管腔様構造が密にみられ,毛細血管の密な増生を認め,表層は厚い壊死物質で覆われ,粘膜層はほぼ消失していた。以上より毛細血管腫の病理診断が得られた。大腸血管腫の本邦報告は1992年までに57例とまれな疾患である。本例は,retrospectiveには隆起頸部の内視鏡所見より血管腫も考慮の余地があったと考えられたが,隆起全体が白苔で覆われていたため術前の内視鏡診断が困難であった。

Fullsize Image
著者関連情報
© 1993 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
前の記事 次の記事
feedback
Top