1993 年 43 巻 p. 263-266
大腸無茎性病変で,内視鏡的に一括切除可能な大きさについてはいまだ定説はない。今回,strip biopsyにより一括切除しえた大きさ25mmの結節集簇型sm癌の1例を経験したので報告する。症例は65歳男性。1992年6月当院心臓科にて貧血を指摘され,注腸X線検査を施行した。盲腸2型進行癌および脾彎曲部の隆起性病変を指摘され,7月1日に当科に入院した。7月13日,2回目の大腸内視鏡検査にて脾彎曲部の結節集簇型病変をstrip biopsyにて一括切除した。切除標本の実体顕微鏡的観察では,病変は25×19mm,表面に脳回転様紋様を有する結節集簇型病変で,Ⅳ+ⅢL型のpit pattern(工藤の分類)を認めた。病理組織学的検索では,smにわずかに浸潤した高分化型腺癌であった。以上から盲腸2型進行癌に対して定型的手術を行うことができ,過大な結腸切除を回避しえた。またⅡaないし結節集簇型では,条件が揃えば最大30mmまで粘膜切除可能と思われた。