消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
若年性ポリポーシスに合併したsm胃癌の1例
下野 聡高橋 宣胖柵山 年和大西 健夫石川 隆志高村 誠二猪又 雄一中村 靖幸井上 一成水谷 央二階堂 孝
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1994 年 44 巻 p. 119-122

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抄録

 若年性胃腸管ポリポーシスの癌合併は少なくなく,特に家族内発生例に多いといわれている。また一般的に癌化はないといわれているが,今回,胃に限局した若年性ポリポーシスにsm胃癌の併発を認めた症例を経験したので報告する。患者は32歳男性で,家族歴と既往歴に特記事項なし。胃検診・精査の結果,胃癌と診断され,当科紹介となった。胃内視鏡にて,幽門側に多発性の乳頭状隆起性病変を認め,Ⅱa集簇型の胃癌と診断した。また噴門部,胃体部,幽門部にかけて多発した有茎性-亜有茎性のポリープを認めた。噴門部のポリープのみ内視鏡的切除を施行し,良性の過形成性ポリープの診断にて胃部分切除リンパ節廓清を施行した。病理所見にて若年性ポリポーシスに合併したsm胃癌と診断された。術前には若年性ポリポーシスの診断がつかなかったため,残胃にポリポーシスが残存している可能性が考えられ,今後も十分な経過観察が必要と思われた。

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© 1994 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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