消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
回盲弁部カルチノイドの1例
中村 眞石井 隆幸小沼 康男山根 建樹野沢 博鬼沢 信明川村 忠夫渡邊 禮次郎小野 敏孝鈴木 正章
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キーワード: 回盲弁カルチノイド
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1994 年 44 巻 p. 123-126

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抄録

 症例は58歳男性。8年来の周期的な下腹部痛を主訴に来院した。既往歴は特になし。血液,尿,便検査では異常はみられず,注腸造影で回盲部に不整な隆起性病変を認めた。大腸内視鏡検査を施行したところ,回盲弁の下唇上に径15×10mmの黄白色調で結節状の隆起がみられ,頭頂部に不整な潰瘍形成も認められた。生検による組織学的所見では,腫瘍細胞は胞体に富み,核は比較的小型で均一な核質を示し,腫瘍組織は索状,結節状構造が主体であったが,数%に腺房,腺管状構造がみられた。Grimelius染色は陽性であり,Fontana-Masson染色は陰性であった。以上から,本例は混合型で銀好性細胞型の回盲弁部カルチノイドと診断した。肝,骨に転移はなく,ホルモン検査でも異常はみられず,右半結腸切除術が施行された。回盲弁部カルチノイドの本邦報告例は,著者の調べるかぎり1993年までに4例と少なく,興味ある症例と考えられたので報告する。

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© 1994 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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