消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy
Online ISSN : 2189-0021
Print ISSN : 0389-9403
症例
びまん浸潤型大腸癌の1小児例と本邦報告例の検討
丸山 祥司川崎 恒雄佐藤 栄吾出江 洋介青井 東呉野坂 俊壽上江田 芳明中川 宗一菊地 正教
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1994 年 44 巻 p. 130-135

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抄録

 14歳男性のびまん浸潤型S状結腸癌の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する。頸部リンパ節の腫脹と血便を主訴に来院した。リンパ節生検により印環細胞癌と判明し,精査の結果S状結腸癌と診断された。手術を施行したが,主病変のみの切除にとどまった。1992年までに15歳以下の大腸癌は,本症を含め本邦で56例が報告されている。小児には非常にまれな疾患であるため,精査を怠りがちで,早期診断ができない場合が多く,予後もよくない。近年大腸癌の増加傾向にある中で,小児といえども本疾患を念頭においた精査が必要と思えた。本症例の予後は3ヵ月であった。

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© 1994 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
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